タイガーマスク基金 インタビュー

タイガーマスク基金 インタビュー#8
子どものいいところを見つけ、企業にマッチングさせたい!

個人の得意や想いを引き出し、企業に引き合わせる

今までの例を少しご紹介します。

 

Aさんは、児童養護施設で過ごした後、大学へ進学しましたが、家庭のごたごたと家計が苦しく中退。とびの仕事をしていましたが仕事が続かず、職場を転々として、2年間くらいフリーターをしていました。肉体労働が合っているのかと思っていたのですが、話してみるとIT系に興味があるらしく、自分なりにパソコンを触れたりというスキルも持っていることがわかりました。フェアスタートで紹介し、IT系の大手企業の孫会社に就職。新しい知識を得るのがとても楽しいと、今も頑張っています。たくさんあった借金も返すことができ、今はサーバー保守関係の仕事をしているそうです。

 

Bさんは、中卒で自立援助ホームにいましたが、レンタルビデオ店でアルバイトを4年頑張っていました。二十歳目前になり、正社員として働きたいとのこと。人と接する仕事が好きで話を聞いていると、「尊敬できる上司の下で働きたい」とのこと。職種よりも働く環境が大事だったということです。その後「社員は家族だ」という中小企業の社長に出会い、入社。今は営業を頑張っています。働く環境にうまくはまったケースだと思います。会うたびに今の会社の社長に出会えて良かったと言ってくれます。

 

このように、文字だけの求人をそのままマッチングするのではなく、人と企業に合わせたマッチングを行っています。

 

 

児童養護施設にいる子どもたちへの、キャリア教育も必要

2013年1月に、株式会社とは別にNPO法人フェアスタートサポートを設立しました。これは児童養護施設を出た後のワーキングプア率や、非正規雇用率が高いという課題を解決したいと思ったからです。


児童養護施設にいる子どもたちへのキャリア教育支援や、施設職員の就職に対する意識の底上げやノウハウ提供などは、お金にならない部分ですから、助成金を取って、この活動を回していきたいと思っています。

 

児童養護施設の子どもたちが就職を目指すとき、子どもたちから具体的に「○○がやりたい」などのキーワードが出てこないことが多く、そうすると職員の方もお手上げ状態になってしまいます。「自分はこの道に行きたい」と言えると、就職の支援もしやすくなるわけです。その部分のサポートを、NPOとしてやっていかれたらと思っています。

 

子どもたちにキャリア教育をしながら、施設にその子に合う就職先の情報提供をする。これをちゃんとやらないと、子どもと就職先のミスマッチが起こってしまうんですよ。子どもには多様な可能性があるのに、施設職員の方も忙しいですし、キャリア教育を専門にできる方はほどとんどいないでしょうから、ミスマッチに気づけない。それでは、子どもにも企業にとっても、不幸なことになってしまいます。

 

施設職員の方は、親のように子どもたちに接していますから、どうしてもだめなところに目がいってしまい、子どもの良いところを見つけにくいと言うこともあると思います。施設で育まれる、集団意識や自立心は、子どもが仕事で活かせる武器になります。ちょっと外側から、客観的に子どもの良いところを見つけてあげることが必要だと思います。

 

 

 

施設にいる子どもたちへ、そしてタイガーマスク基金へ

自分の可能性を信じて欲しい。何でもできるんだから、どんどん道を切り開いていって欲しいと思います。社会に出るにあたって、会社を知る機会を提供したり、子どもたちを育てようという会社の情報を提供します。そして仕事に就いた後にも、付き合っていきたいと思っています。社会を楽しんで欲しいですね。

 

タイガーマスク基金に期待することは、我々のような活動をする団体への資金的な援助。そしてタイガーマスク基金らしい就労支援も考えていっていただけたらと思っています。私も実行部隊として、お手伝いしていきたいと思っています。子ども虐待の根絶は、社会にとってもプラスになるはずです。子ども虐待がなくなって、児童養護施設の子どもたちがいなくなると、フェアスタートの仕事がなくなりますが(笑)。でも、それが一番です。

 

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