児童養護施設訪問などグラウンド外でも積極的に駆け回るプロ野球の今江敏晃選手と、ファザーリング・ジャパン代表の安藤哲也が互いの社会活動のこと、子どもへの思いを直球勝負で語り合いました!
文/鈴木健太
(対談はアクセスインターナショナル「FQ JAPAN」2012 SPRINGより転載いたしました)
安藤 まず、今江選手が社会活動へ積極的に参加するようになった経緯を教えてください。
今江 もともと小さい頃から、著名人が社会活動しているのをTVなどで見て、自分もプロ野球選手になったら社会に貢献・恩返ししたい、と思っていたのが一歩目です。児童養護施設への活動を始めたのは、息子が生まれたことの影響も大きい。愛情をすごく注いで育てているんですけど、そういう親の愛情を受けられない子もいると知って、何か手助けできないかなと。
安藤 具体的にはどのような社会活動をされているんですか?
今江 オフには今江サンタになって(笑)児童養護施設を訪ねてプレゼントを届けたり、障がい者の野球チームに野球教室を開いたりと現地訪問をしています。毎年、児童養護施設や小児がんの子たちを試合に招待もしていますね。
安藤 子どもたちの反応は?
今江 大変な境遇の子もいますけど、みんなすごく人懐っこくて、抱っこしてと甘えてきてくれたりもします。僕はプロ野球選手が子どもたちを励ますという構図ではなく、「俺も頑張るからお前たちも頑張れ」というような、子どもたちと僕で〝互いに〞刺激しあえる関係が好きなんです。
安藤 僕は子どもたちの前で絵本の読み聞かせを10年ほどやっているけれど、子どもたちから「もっと読んで」という言葉や笑顔を返してくれると、それが自分にとっても嬉しいし、糧になる。
今江 本当にそう!一昨年の日本シリーズで活躍できたのは、T Vを通して頑張っている姿を見せたい、という思いも関係していたのかな(笑)。
安藤 実際には、児童養護施設の子どもたちへのサポートはまだ足りない現状があって、僕らも昨年タイガーマスク基金を設立しました。その寄付金で、子どもたちが退所する際の自立支援などを行なう予定です。ところで、今江選手は社会活動のことを、6歳の息子さんに話してあげることはありますか?
今江 実は僕、施設側からOKをもらえたときは、息子や妻と一緒に施設訪問しているんです。「自分にはパパやママがいるけど、世の中には親と暮らせなくても頑張っている子がいるんだ」と感じてほしい。将来、社会に恩返しができる人間になってほしいんです。そうしたら、去年震災があったとき「僕に何かできることないかな」って自分から言ってきて、嬉しかったですね!
安藤 一般のパパたちは、プロ野球選手と違って働く姿を子どもに見せたくても見せづらい。でも親子で社会活動に参加すれば、親父の活躍する背中を我が子に見せてあげられますよね。
千葉ロッテマリーンズ 今江敏晃さん
1983年8月26日京都府生まれ。千葉ロッテマリーンズ内野手。幼少期から人並み外れた体格をもち(小学6年生で174cm!)、プロ野球選手を目指す。PL学園に進学し、2000年には夏の甲子園に出場。2001年に千葉ロッテマリーンズ入団後、2005年・2010年の日本シリーズでMVPに輝いたほか、ゴールデングラブ賞も4回獲得。夫婦でNPO法人「ミルフィーユ小児がんフロンティアーズ」を支援するなど社会活動にも積極的。6歳の長男のパパでもある。