事業報告

平成27年度 児童養護施設退所者への支援について

NPO法人タイガーマスク基金は、公募により、平成28年4月に大学進学した新入生39名と、平成26年度に大学入学し、大学3年生に進級した学生39名と、平成27年度に大学入学し、大学2年生に進級した22名に一人当たり6万円を支給いたしました。新入生には初年度の後期支援金として、11月に一人当たり6万円を支給し、給付事業としては総額822万円を拠出。これにより、平成24年度からの延べ人数は271名となりました。進学サポーターの皆さま、助成金を給付してくださった「連合・愛のカンパ」様、ジョンソンコントロールズ株式会社ビルディングシステムズ様、ご寄付くださった全ての皆さまに心より御礼を申し上げます。

 

社会的養護の子どもたちの進学支援については、平成27年度の補正予算から国として、家賃相当額と生活費(毎月5万円)の貸付が行われることになりました。さらに、大学卒業後、5年間就業すれば返還は免除されることになり、自立生活支度費として最大でも276,190円しか支給されていなかったこれまでに比べて大きく進歩しています。しかしながら、学費については多くの学生がアルバイトを重ねながら大学に通い、卒業しても貸与型奨学金の返済に追われているのが現実です。苦学生は昔からいたとおっしゃる方も多いと思いますが、国立大学の授業料は40年前の15倍にもなり、私立であればさらに高額な学費を納めなければなりません。頼れる家族がいない児童養護施設の子どもたちは、保証人を必要とする奨学金を借りることすら困難です。近年、地方自治体で独自の支援制度を設けている地域も増えてきましたが、そもそも、子どもたちは生まれる場所や育つ施設を選べません。正直に申し上げて、タイガーが届ける支援金だけでは大学には通えません。少数の子どもたちを選別して大金を届けるのではなく、一人でも多くの子どもたちに支援を届けることを目的としているため、一人当たりの支援金は十分な額ではないと言われてしまえば、その通りかもしれません。そのかわり、返済は不要、成績も不問、地域を制限せず、他の奨学金との併用ももちろん可能、使途に制限はありません。国でもようやく給付型奨学金の創設に腰をあげましたが、学校推薦が必要で、高い学習成績を収めているか、教科以外の学校活動等で大変優れた成果を収めている者から、まず各校に1人の推薦枠を割り振ったうえで、残りを各校の申請数に応じて振り分けられる予定のため、高校時代に自立のためにアルバイトで時間がさかれる社会的養護の子どもたちがどの程度その恩恵をうけられるかは未知数です。そのため、私たちは、今後も、今すぐ支援を必要とする目の前の学生のサポートを継続することにしました。目の前の子どもだけを助けても解決しないというご意見をいただくこともあります。しかし、目の前の子どもに手を差し伸べずに、多くの子どもたちの未来を守ることはできないと考えます。皆さまのご協力に改めて感謝申し上げ、引き続きのご理解・ご支援をよろしくお願い申し上げます。

 

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