「タイガーマスク基金」への想い
もっと早く行動するべきだったという気持ちが正直なところです。
行動を起こすのに遅すぎることはないと何度も言い聞かせ、やっと今日「タイガーマスク基金」の立ち上げを迎えることが出来ました。
主人の梶原一騎が亡くなって後、主人の意に沿っていることを確認しながら、私なりに定めた目標に向かって生きてきました。
目標達成とまではゆかないものの、ある程度見えてきた私自身の人生の全容を思う時、終着に向けての生き様が、どれほど重要であるか、そして今まで通ってきた道を良しとするため、絶対に必要な時間であることを強く意識していました。
けれど何をすべきか、何をしたら納得のできる人生だったと満足を得られるのだろう、何かをしたい、何かをしなければ、と模索し続けていた近年でした。
そんな折に聞こえてきたのが一連の「伊達直人」運動だったのです。想像だにしない善意の行動は、連鎖となって日本中に広がってゆきました。
その時になって私は気がついたのです。おのが微力と術のなさを言い訳にして、私は動こうとしてなかったことを…。
幕引きまで、どれほどの時間が残されているのか判りませんが、私にとっては「タイガーマスク基金」の立ち上げは、人の役に立つ、役に立たせて貰いたいという切なる想い、心からの願いなのでございます。
この運動が成功した時に、私は「本当の人間」になれるような気がするのです。
どうぞ、私を「伊達直人」の仲間に入れてください。主人との距離が近くなったような気がしています。
高森篤子さん
(「タイガーマスク基金」発起人、「タイガーマスク」原作者・梶原一騎ご夫人)
「全国の伊達直人さん、おばちゃんも頑張るわ!」
2011年の年末に群馬県の児童相談所へランドセルが届けられたことに始まり、全国で「伊達直人」「タイガーマスク」を名のる方々から、おもちゃ、商品券、文房具が送り届けられた「タイガーマスク運動」は驚きでした。ぱちんこの宣伝とお菓子メーカーの宣伝とかいろいろな噂をお聞きしましたが、きっかけはなんであれ全国中に広がったことは素晴らしいことです。
この運動で寄付をされた方々は裕福な方だけではありません。なかにはご老人や小さな子供たちまでが、自分のお金をはたいて寄付をされていました。そんな「タイガーマスク運動」が連日のように報道されるにしたがい、わたくしも何か世の中に恩返しができたらいいなという気持ちが芽生えてまいりました。しかしわたくしはこれまでボランティア活動の経験も少なく、何をどうしたらいいのかもわからずに指をくわえてみているだけでした。梶原一騎先生のご夫人高森篤子さんとも、「タイガーマスク運動」が一過性のものに終わらないように何かできればとご相談していた矢先に、NPO法人ファザーリンクさんがお力を貸してくださると名乗りを上げてください、ここに「タイガーマスク基金」設立を迎えることになりました。
「タイガーマスク」は子供たちに夢を与えるために、悲しみを背負い生きる人間の姿を描いた作品です。なき主人が漫画「タイガーマスク」を執筆したご縁であります。わたくしも一人の伊達直人としてタイガーマスクになり、この基金を通して子供たちに夢を与えることに力になれたら幸せです。
辻芙美子さん
(「タイガーマスク基金」発起人、「タイガーマスク」漫画家・辻なおき氏夫人)