2020年 児童養護施設退所者への支援について

事業報告

新型コロナウイルスの感染拡大が世界的混乱を招いた今年、タイガーマスク基金が支援を届けている児童養護施設出身の学生たちは、外出自粛や営業時間の影響でアルバイトができなくなりました。学生たちにとってそれは、大学の継続はもちろん、生活破綻の危機に直結しました。大学のキャンパスも閉鎖され、オンライン授業のためのIT機器の購入や通信費は予定外の出費となり、安価な学食も利用できずに、食費を削るしかないという声も聞こえてきました。頼れる実家もなく、仕送りもないために、コロナ流行以前からギリギリの生活を強いられてきた弱い立場である学生たちが、更なる困窮に追い込まれたのです。

タイガーマスク基金では、全ての奨学生に規定の金額にプラスして「一人当たり3万円の追加支援金」と3千円相当の「クオカード」や「テレホンカード」を届けました。通常、新規の奨学金枠には、新入生からの応募しか受け付けていませんが、緊急事態であることを考慮して、学年途中からの応募も受け付けるなど、支援の枠を拡充し、2020年11月末時点で142名の学生に総額1,225万円の支援金とクオカードテレホンカードなどを届けることができました。皆さまのあたたかいご協力に心より感謝申し上げます。

2020年10月末日時点「進学支援」のご報告

学年人数支援金コロナ対策
追加支援金
金額計
新入生41\50,000\30,000\3,280,000
2年生29\50,000\30,000\2,320,000
3年生28\60,000\30,000\2,520,000
4年生21\60,000\30,000\1,890,000
合計119¥10,010,000
2020年 タイガー進学支援制度
学年人数支援金コロナ対策
追加支援金
金額計
2年生9\50,000\30,000\720,000
3年生12\100,000\30,000\1,560,000
4年生2\100,000\30,000\260,000
合計119¥2,540,000
コロナ対応特別枠  学年途中応募
コロナ緊急支援人数支援金一人当たり
クオカード142名の学生¥100,000¥3,000¥426,000
テレホンカード142名の学生¥100,000¥3,000¥426,000

全てがコロナのせいではなく、元々、学費の高騰や高等教育に対する公的支出の低さ、奨学金制度の不十分が原因です。経済協力開発機構(OECD)の調査で、国内総生産(GDP)に占める教育機関への公的支出の割合を比較しても35カ国中、日本は最低レベルであり、高等教育は家計で負担している割合が高いことになります。親の収入で進路が左右されるということは、家族に頼れない社会的養護の子どもたちの教育の機会が保証されていないことに他なりません。コロナによってあぶりだされたこの現実を広く発信し、この国に生まれた全ての子どもたちが安心・安全に暮らし、等しく教育を受けられる社会創りのために努力して参りますので、引き続きのご理解をよろしくお願い申し上げます。

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