6/26に開催した<緊急オンラインセミナー>には、平日のお昼休みにも関わらず、50名を超える方々にご参加いただきました。子育て中の保護者の方、子育て支援に関わる方、自治体職員の方、議員の方、メディアの方、医師、学生など様々な立場の方にお申し込みいただき 「ともそだて」についての関心の高さがうかがえました。お忙しい中、ご参加いただいた皆さまに感謝申し上げます。
4カ月児死の背景と、児童虐待の実情

初めに、長年、虐待防止の活動にも携わっているタイガーマスク基金の高祖代表から、今年、立て続けに起こった生後4か月の赤ちゃんの死亡事件について、報道で伝えられている状況を解説。いずれの事件も、母親が育児に不安を抱え、児童相談所に悩みを訴えていたことが分かっています。
国や自治体が何もしていないわけではありませんが、少子化が急速に進んでいるにも関わらず、虐待相談も死亡事件も高止まりの状況。虐待死の半数が0歳時であることや妊産婦の死亡原因の1位が「自殺」であることから、妊娠期からの伴走型子育て支援の必要性を訴えました。
ポイントは、日常における相談しやすさと対応。様々な窓口に自己申告させるのではなく、あらゆる子育て支援をコーディネートする介護サービスのケアマネージャーのような仕組みを提案。家族の心配を早期にキャッチし、アウトリーチ型で寄り添っていくことで、深刻な事態になる前に、対策をたてることができます。
家庭においては、父親の育休取得の重要性をあらためて強調。夫婦で一緒に子育てをスタートさせる、つまり、ふたりで同時に親になっていく過程を共有することが大切です。子育ては家庭だけの問題ではなく、重要な社会的課題の一つであり、国をあげて、虐待防止は川上対策に転換する必要があることを強調しました。
産後パパ育休&育休の必要性と父親の働き方

NPO法人ファザーリング・ジャパン(以下、FJ)は、「よい父親」ではなく「笑っている父親」を増やし、ひいてはそれが働き方の見直し、企業の意識改革、社会不安の解消、次世代の育成に繋がり、10年後・20年後の日本社会に大きな変革をもたらすということを信じ、これを目的としてさまざまな事業を展開しています。タイガーマスク基金もFJの一つのプロジェクトとしてスタートし、NPOとして独立した経緯があります。
男性育休推進のリーダーを10年以上担当されてきた塚越学副代表は、こどもにとってのウェルビーイングという視点から解説をスタート。「こどもまんなか社会」を実現するには、子どもと保護者を家族、保育園や学校、地域、行政や企業、社会が見守り、サポートする必要があります。しかし、実際は、制度があっても申告・申請主義で手続きが煩雑なこと、職場では⻑時間労働を求められる、子連れでの外出に冷ややかな視線を感じるなど、子育てしやすい社会とは言えないのが日本の現実。
支援が得られない家庭で育った子どもたちは、十分な力を発揮できなくなるかもしれず、それを「最近の若者たちは・・・」と感じてしまうならば、そうした若者をつくりあげたのは、自分たち大人ではないか、ということに気づいて欲しい。自分が子育ての当事者でなくても、親族として、会社の同僚として、上司として、パパ友・ママ友として、地域の大人として、それぞれの立場で、できることがあるのではないか。その実践こそが「ともそだて」であるというお話がとても印象的でした。
改正育児・介護休業法により、育児休業取得の支援制度が強化され、企業に公表義務が課されましたが、期待されるのは、取得率の上昇だけではなく、制度の普及によって、社会の仕組みや意識を変えること。日本は、女性の育休取得が⻑過ぎ、男性が短過ぎるケースが多く、最初の第一歩の育休で、育児家事が女性に偏る傾向がある。育休は夫婦で「シェア」することが重要であり、男女ともにフェアな育休を取得するには、柔軟な働き方や効率的な業務配分等、企業側の努力や社会の認識のアップデートが必要とされているとのことでした。
政策や制度が整えられても、「子育ては親がするもの」という認識を「ともそだて」に変えていかない限り、子育ての現状を変えることは難しいと思います。「子育て」を「孤育て」にしないよう、このセミナーをきっかけに、行政や企業だけでなく、個人としても、「ともそだて」メンバー宣言をしてくださる方が増えてくださることを切に願っています。
参加いただいた方々の感想やご意見
・男性の育休のリアルが伝わってきて、興味深かったです。
・性別役割分業や母親規範にとらわれない児童福祉を考える手掛かりになりました。
・高祖さんが「児童虐待防止は川上対策へ転換を」と言われたように、健康管理と同じで重症になってから通院するのではなく、軽度または未病のうちに早期対策ができたら良いと思いました。
・塚越さんが「切れ目のない子育ての伴走支援」とお話されていたように、各地でもマイ保育園(園に通っていなくても相談できる制度)があれば、産前から産後まで切れ目なくサポートができると考えます。
・育休法の改正で企業側から対象者へ説明責任があることを初めて知りました。色々と勉強になりました。
・ともそだての必要性を改めて感じました。
・男性が家のことに関わるために職場での理解と仕組みが重要であると思いました。
・大量の情報を与えて助けを待つのではなく、ケアマネのようにあなたにはこんなサービスが必要と申請まで手伝うような仕組みが必要では?という提案が印象にのこりました。
・塚越さんの意見に賛成です。パパも両親学級を受けてほしいし、そういう話を行政も話してほしい。
・ことし10月からの育休法の改正、知られていませんね。メディアとして、しっかり発信したいと思います。
・企業も自治体も、「最近どう?大変でしょ?」が広がるように、ともそだてが当たり前になるように、マスコミとしてできる発信をしていきます!
・お話ありがとうございました。共感することばかりでした。
・企業さんから育休取得について聞かないといけない状況が生まれて、今後さらに良い変化が進むようで、これから楽しみに思いました。


